完全優勝！！

J1、セカンドステージ最終節。マリノスは3位。優勝の条件は直接対決で磐田に勝利、そして鹿島が引き分けか負け。端から見ればかなり厳しいものだったはずだ。

だけど、我々マリノスサポーターは信じていた。
「大丈夫、浦和のエメ様が鹿島を倒すよ」
「ウチが勝てば完全優勝だ！」

その気概は2分でしぼむ。
いつもと違う3バックのバランスの悪さからグラウに先制パンチを決められる。勝たなければいけない中、これは厳しい。
そして15分、ゴールキックを目前で防いだグラウに対し、GK榎本哲也がダッシュで駆け寄り押し倒して一発退場。
ここ5試合で4試合目の10人。どれも勝っていない。しかもGK下川投入の為に攻めの要である佐藤ユキヒコを下げる。「もうダメだ」そんな悲壮感に襲われる。

だが、ジュビロは安心したのか、攻めが緩い。ダイレクトプレーも多く、圧倒的にボールを支配していたけれど押せ押せではなかった。久保の決定機はポストに阻まれたが、10人になって無失点で乗り切ったのは大きい。0-1でハーフタイムへ。

ハーフタイムでの途中経過、鹿島2-0浦和。優勝は無理でも、この試合に勝てれば・・・とにかくそれだけ。そして後半キックオフ。

強いチームはセットプレイで点が取れる。
FKが相手DFに当たりCKへ。ドゥトラのキックを久保が高い打点で当て、GK山本が弾く。DFのクリアミスをヘッドでマルキーニョスが押し込む。前半のお返しとばかりに早々と同点に。一気に盛り上がる。

そこからはかなり記憶が無いw
磐田も攻めてくるが、グラウの決定機はポストに。さすがホームだ！こちらも大橋のセンタリングミスっぽいシュート、奥の強烈なミドルなどで応酬。1人少ないのを感じない勢い。

恐らくは磐田は引き分けでも優勝。無理をしない。
そしてロスタイム。3分の掲示を見ている間に、ボールはこちら側へ。相手DFと久保が競る。身体能力は外人並。負けるわけが無い。前に出ていたGKの頭上を抜いて、パサァ〜とサイドネットが揺れた。

両腕を突き上げ、雄たけびを上げる。周りのサポたちとハイタッチ。完全に発狂。優勝争いなんて関係ない。ここはマリノスのホーム。ゴン中山が出てこようが、何の怖さも無くなった。
そしてホイッスル。劇的な勝利に大喜び。
だが、本当のドラマはここからだった。


「あー、これでチャンピオンシップは鹿島となのか・・・」
ハーフタイムに2-0。浦和が逆転出来ているか・・・？
そしてオーロラビジョンに映し出されたのは、トニーニョ・セレーゾの歪んだ悲痛の顔。
グラウンドを叩く曽ヶ端。泣きそうな小笠原。
「まさか！？」
選手も、監督も、43000人全員が事態を飲み込めていない。何か起こったのは確か。しかし得点状況が表示されない。
浦和がボールを奪う。盛り上がるマリノス側ゴール裏。「うらーわレッズ！」のコール。そして見えたのは”浦和2-2鹿島”。
「うわぁぉああーーーーーーーーーーー」
地響きのような悲鳴が巻き起こる。
そしてホイッスル。

感動がじわじわ来る。体からいろいろなものが発せられる。95年のチャンピオンシップ優勝も、2000年の1st大逆転優勝も、今年の1st優勝も見たけれど、どれよりも感動した。

退場した榎本が泣き崩れながら、ディドコーチや他の選手に諭されつつ現れる。「哲也！」「哲也！」今日の退場は絶対に許されない。が、今年の前半、榎本達也が怪我の時期に大活躍したのは彼だった。

7年も続いた「磐田・鹿島政権」を崩した。
棚ぼたではない。自力で勝ち取った。誇れる試合を見せた。
俺たちがチャンピオンだ。